アメリカで暮らしていたときに、たくさんの友人ができた。
でもあの9.11.直前に私たちの帰国がきまった、そう突然に。
全員に挨拶する間もなかった。
駐在の立場で来ていた人たちが多かったから、
その後の連絡先が分からない。
最後の帰国から私たちはもう5回も転居しているのだ。
たまたま電車の中のほかの乗客の会話が耳に入る。
○○さん、と誰かの名字を言っているのだが、なんだかその苗字に
どこか聞き覚えがある。
誰のことだったっけ。。。
急行電車のつり革につかまってガタンガタンと揺られながら
なんとなくいろんな人を思い浮かべる。
もやもやして見つけられない。
急行停車駅を3つか4つ過ぎた、そのとき。
ある記憶の断片がその糸口のワンシーンだけ切り取られて、
突然私の脳裏に蘇った。
脳裏って書くけど、別に裏でもなんでもない!
脳って、すごい!
何人かの友人とお茶会をしていた時の会話の1シーン。
旧姓はなんていうの?という私の問いかけに
○○っていうの、と返事をする友人。
そのどんぴしゃのシーンはまるで何かの再現フィルムを見ているようだ。
その再現のおかげで、たった1回しか聞いたことのない
彼女の旧姓を思い出し、Facebookで検索してみた。
見つかるかもしれない、見つかってほしい。
そして、彼女をFacebook上で発見した。
心臓がドギマギ。
ずっと探していたのに、見つけられなかった一人だから。
彼女はご主人の駐在に伴ってカナダからサンノゼへきて、
その後スイスへ渡り、そしていまはカナダに戻っている。
長女はもう就職し、長男は大学生、
そして彼女は有名企業の幹部として働いているということだった。
あれから13年の歳月が流れていた。
何かが終わって、何かが始まる。
不思議な予感がする。
なんだかすぐ会える気がする。